西武新宿線がガードの上を走り、
その下を東川という水量の少ない川が流れる。
川の両側をそれぞれ一方通行の道が囲んでいる。
坂の上から始まるその道の名は、「飛行機新道」。
明治44年頃に我が国初めての飛行場が所沢に出来て、所沢停車場(今の所沢駅)から飛行場(今の航空公園)へと飛行機を運ぶために新しく造った道らしい。
そうだと知るヒトは余り多くないけれど、所沢が日本の航空発祥の地なのだ。
そんな飛行機新道は、左に折れて川から離れ、
かつて米軍が駐留していた場所にある航空公園へと向きを変える。
その曲がり角辺りに、今にも朽ち落ちそうな食堂があるのです。
もうとっくに閉めてしまっているものと思い込んでいたのに、
「ラーメン」や「名代うどん」とくっきりと示す幟が風に揺れている。
ああ、スゴイ。
いまも営業しているんだ!
硝子窓さえも覆い尽くそうとする蔦に包まれている。
かつて店の名を灯られていたであろう看板の表示板は、
今ではもう見ることのなくなった、硝子製だ。
もう文字も掠れて、割れて、隙間が開いている。
蔦越しに見上げるペプシの看板は、店名を蔦が隠してすっかり見えない。
その裏側はといえば、店名が陽に焼けてやっぱり見えない。
建物右手のショーケースを覗くと、これまた期待に違わぬ出来上がり(笑)。
煤けたように積もった埃のベールを纏ったサンプルたち。
笊蕎麦の下敷きになってしまっているのは、タンメンでしょか。
車の撥ねた汚れをそこそこに、力強くホワイトボードに認めたメニューたちがまた強く誘う。
「豚生姜焼定食」650円に「肉汁付ざるうどん」に「男前豚丼」600円。
「鍋焼ラーメン」に「キムチ豆腐おじや」なんてのまである。
お昼の時間をとうに過ぎていたけど、幸いなことにまだ営業中の札が掛かっている。
いざいざとサッシュのドアを引き開けようとすると、あれ?固い。
もう一度と力を込めて引くと、ズズズという音とともに開けることができました。
店内は、ひと言で云えば、おばあちゃん家の食卓。
お客さんに出すのとは明らかに違うお惣菜やら湯呑みが載ったテーブルが中央にあって、
必然的に右側のパイプ脚のテーブルに座ることになる。
改めて見渡す店内は、使い込んだ食卓にふさわしい雑然さ。
色々なものが貼られ、提げられ、吊るされている。
筆ペンで描いた品書きに混じって、
チラシに裏に自らの人生訓のような文句を綴った貼り紙もある。
冷蔵庫の貼り紙にはこんな台詞もあっていい。
「人生を美しく生きるにはおいしい料理」。
奥の厨房にいるじいちゃんとなにやら声を掛け合いながらの調理の様子が漏れ聞こえてくる。
しばし後、「豚生姜焼き定食」がやってきました。![]()
生姜がぴりりと効いて、いい感じのロース肉。
玉葱の甘さも映って、なんだかとっても正しい気がする。
これで650円でいいんでしょか。
そんな安さの所為もあって、やっぱりこれもいただかなければと「肉汁付ざるうどん」。
プラスチックのザルに載ったうどんは真っ白い。
もしかしてここで絶品の武蔵野うどんに出会えてしまうのかも、
という一抹の期待はやはり無謀なもので、ザルのうどんは讃岐モチーフの普通なヤツ。
すぐ脇の手洗いの鏡には見沢製麺の文字。
ご夫婦のお歳でうどんを手打ちするのは、無茶なことですものね。
気なるメニューに呼ばれて、ふたたびの昼下がり。
営業中の札を確認して、硝子越しに覗き込むと、目の前の食卓でまさに遅いご昼食中。
お食事中御免なさいと呟きながら、固い引き戸を開きます。
気になっていたのは、「男前豚丼」。
中途のご飯に新聞紙をかぶせて、調理に勤しんでいただいた成果がこちら。
こってり濃い味に焼き上げた豚ロースの上に、たっぷりのおろし山芋。
中央には、当然の如く、黄卵が載っています。
豚肉の濃い味を山芋の自然な甘さが受け止めて、まったりしたコク味で迫るドンブリ。
"スタミナ"などと呼ばず"男前"と呼ぶなんて、オヤジさん、粋じゃないですか。
これまたもしや!と思いついて、「ラーメン」400円也を追加注文してみます。
渦巻きナルトなんか浮いちゃって、まさに懐かしい顔立ちの中華そば。
ただ、味わいは至って普通。
これでしみじみ旨かったら、さらに嬉しさ百倍なんですけどね(笑)。
飛行機道の曲がり角、東川の畔にいまもある、蔦の覆う大衆食堂「末廣屋」。
「末廣屋」「末廣食堂」の創業は、まだ米軍基地が返還される前の昭和42年のこと。
ああ、45年も此処にあるのに、やっと最近お邪魔できたなんて。
![]()
思わず、お元気で!と云ってしまいそうになるけど、帰り際に、
また来まーす!とご挨拶。
だって、ホワイトボードにもっと気になるメニューを見つけそうなんだもの。
「末廣屋」
所沢市西新井町21-18 [Map] 04-2992-2289
山車祭りの折りには、なかなかの賑わいをみせる所沢銀座通りも、普段はひと影も割と疎らな感じ。
嘗てあったアーケードはとっくに取り払われて、通りに沿って並んでいたお店たちがマンションに代わっていっている。
飛行機新道の始点でもある交叉点(俗に「ねぎし」の交叉点と呼ぶ)から眺める通りの両脇にはにょきにょきとマンションの外形が映る。
そんな銀座通りの一角から伸びる路地が「盃横丁」。
昭和の匂いを漂わす古き手描き映画看板が迎えます。
一度訪ねたことのある炭火やき鶏の「むさしや」を横目に路地のヒト。
真っ昼間の「盃横丁」は、折角の妖しさも極々控え目。
大谷石の外装重厚なClub「ACB(アシベ)」は今も営業しているのかなぁと立ち止まっては、
その奥へと進みます。
質屋「港屋」の板塀に沿って右へ折れると、
「盃横丁」のヘソとも思うバー「Thirty three」の半円のテントが見つかる。
その並び、つまりは「盃横丁」の東の入口のとば口に開店した「なか屋」さんがこの日の目的地です。
扉の脇につけた四角いアクリルのサインには、
武蔵野うどん専門店「なか屋」、そして"地粉100%"とある。
新装ながらも専門店としての気概を感じさせる佇まいではありませんか。
![]()
「なか屋」は、ファサードから想像される通りのカウンターの店。
お食事メニューは、「肉汁うどん」は勿論のこと、「ざるうどん」に「野菜汁うどん」、そして「鳥汁うどん」「とろろうどん」「にしんうどん」なんかもラインナップ。
武蔵野うどん専門店としては、初っ端からバリエーションあり過ぎとも思うも、
そんな文句もお門違い(笑)。
素直に「肉汁うどん」をお願いしましょう。
大盛りでも値段変わりません、というのでそのように。
厨房の隅のコンロに載せた羽釜でぐらぐらと滾る湯の中にそろっとうどんを滑り込ませる。
その湯は何杯かのうどんを既に湯掻いているはずなのに、およそ澄んでいるように見えます。
その横のもうひとつのコンロには雪平鍋。
肉汁のネタには、豚バラ肉のみならず、刻んだお揚げもたっぷりの様子。
一杯づつ丁寧に仕立てることが、その所作からも窺えます。
当然ながらも手打ち手切りであることが、
平べったいところなんかが混じっていることで、よく判る。![]()
つるっとした見た目のテクスチャーを愛でてから、具沢山の肉汁に浸して啜ります。
硬過ぎず、柔過ぎず。
噛むほどに粉の滋味がじわっと伝わってくる。
武蔵野うどんの看板を掲げながら、
なんだか讃岐うどんみたいなうどんになっちゃってるうどんも世にあるけれど、
決してそうではない気概もまた噛むほどに。
「なか屋」のうどんは、サインが示すように地粉100%。
群馬辺りの?と問えば、
いえ、埼玉や北海道の国産小麦粉を狭山ヶ丘の田中製粉から仕入れている、という。
北海道の小麦粉が"地粉"かどうかの議論はさておき、
少なくとも使い勝手のよいオーストラリア辺りの粉を使ったり混ぜたりしている訳ではないことに敬意を払いたい。
そんな「なか屋」のうどんの特徴を象徴的に示すのが、蕎麦湯ならぬ「釜湯」。
つけ汁として濃いめに仕立てたツユをうどんを湯掻いた羽釜の湯でちょいと割って平らげてくださいと。
器に注がれたそのお湯は、羽釜に眺めた通りにおよそ澄んでいる。
頃合いをみながら残った肉汁に注いで小さなどんぶりを傾ける。
うん、飲むに加減のいい濃度にそこはかとない粉の風味が加わって、いい。
思い返せばいままでいただいた武蔵野うどんの店で、
いやすべてのうどんの店で釜の湯を供してもらった記憶はない。
妙なコシを無理くり与えようと、片栗粉やコーンスターチを混ぜ込んでいれば、
忽ちそれらが茹でる湯に溶け出して白濁してどろんとなることは想像されるところ。
打ち粉を叩いた地粉100%のうどんでは、
茹で湯を濁らせる程度が圧倒的に少ないってことなのでしょうね。
狭い厨房で工夫して打つといううどんは、いまのところ40人前程度という。
加水率や塩の加減を模索する毎日だそうだ。
昭和の匂い漂う、盃横丁の一角に武蔵野うどん専門店「なか屋」。![]()
開店は、11年の11月15日。
蕎麦屋の経験を活かしてと聞けば、「釜湯」の提供も頷ける。
武蔵野うどんの老舗たちを食べ歩いたのかと訊けば意外や、
「小島屋」も「きくや」もまだ訪ねてないという。
先客さんが退けたところで、
"糧"や"茹で置き"、"バラ肉のアクや脂"などについてお節介な意見交換(笑)。
ヒマを見つけては他の武蔵野うどん店も散策しつつ、
いまひとつ判然としない武蔵野うどんの定義を明らかにして欲しいな、なんて思います。
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「なか屋」
所沢市御幸町2-9 盃横丁内 [Map] 04-2939-4700 http://locoplace.jp/t000154205/
西武新宿線の航空公園駅西口近くに山ノ上公園という小さな公園がある。
以前は交通公園という名前で、深く掘り下げて回遊路を廻した立体感のある公園でした。
ミニチュア版の道路に横断歩道が描かれ、信号機や踏切も据え付けられていて、密かに好きだったのだけれど、いつの間にか埋め立てられて、なんの変哲もない公園になってしまっていました。
そんな山ノ上公園や明峰小学校が面する道を国道に向かって進むと、
正面に「手打ちうどん」と示す看板が見えてきます。
駐車場の看板には間違うことなく、「肉汁うどん」の文字。
そうとなれば、寄らない訳には参りません(笑)。
懐かしい風情の藍の暖簾を潜る店内は、右に小さなテーブルふたつ、左手に小上がり。
遠い昔に訪ねたことがありそうな、デジャヴに似た感覚が過る。
壁一面の品札には、天ぷらのあれこれやその天ぷらを使ったどんぶりもの、居酒屋メニューに豚肉の生姜焼き定食までが並んでいます。
そうはいってもその中心にあるのが、「もり肉汁」。
もり、大盛り、大大盛り(だいだいもり)とうどんの量が三段階。
オカアさんに相談しつつ、空腹を理由に「大大盛り」をお願いしました。
![]()
早速届いた小皿に刻み葱と一緒にほうれん草や蒲鉾の一片があるのは、
"糧"の習慣から。
うずらの玉子が添えられているのは初めてだ。
角ザルでやってきたうどんは、やや細めな印象ながら、地粉の色合い真っ直ぐの表情。
汁には勿論豚バラが浮かんでいて、早く啜れと急かせます。
こんもりとしてはいるけど、空腹にはちょうどいい感じの盛り具合。
箸先を駆って、バラ肉の脂とアクが浮かぶ汁にどっぷと浸して一気啜り!
うんうん、ムホホ。![]()
見た目の印象と同じく、
ほんのもうちょっと太めに切ってもらえると野生味が増してさらにムホホになると確信します。
まぁその分湯掻き時間も増えちゃうだろうけどね。
静かな住宅地の只中に、武蔵野うどんの店「あまのや」。
厨房では、ご主人らしき御仁も女将さんらしき方も元気に立ち動く。
その中に若いひとの姿がみられるのが頼もしい。
ずっと続けていって欲しいなぁ。
二階にもお座敷があるようです。
「あまのや」
所沢市北有楽町16-5 [Map] 04-2923-3660
宵闇の西武池袋線での帰り道。
ふたたび石神井公園の肉汁うどん「肉汁やZERO」に寄っちゃおうか、椎名町で居酒屋ラーメンしちゃおうかと思案する。
流れる景色を眺めながらふと、takapuがうまそな煮干し中華を平らげていたのを思い出す。
慌てて大泉学園に途中下車です。
念のためと電話してみると、夜の部は18時半頃からですが数杯で仕舞いになりそうですと。
ちょうどそんな頃に着くように駅北口を離れます。
白子川を渡り、くねくねと車の通りの多い道を往く。
中華そば「伊吹」は小泉橋と呼ぶ交叉点近くにありました。
開けようと手を掛けた引き戸には貼り紙。
本日の煮干し度、ちょこっとヘビー、エグミあり。
うんうん。
日によってどうしても振り幅のある煮干しスープに対する向き合い方が真っ直ぐ判るようで、
いい表現だよね。
![]()
開店早々だというのに、6脚のカウンターに空きはひとつ。
注文を聞かれるまで、調理の所作を眺めつ待ちましょう。
「中華ソバ」に「味玉」「のり」を添えてもらったどんぶり。
薬味は刻んだ玉葱です。
早くも膜を張り始めるスープを蓮華で掬って、まずはひと口。
む、むほほほほ!!
これは旨い!
濃度の加減が絶妙で、
乳化を思うクリーミーさの中に煮干しが育んだ旨味をがギュギュッと詰まってる。
煮干し出汁と動物系出汁のバランスがいいのだね。
うひゃ〜と感心しながら、細麺を啜ります。
あああ、ポキポキと粉の風味を伝えては嫋やかに歯に応える感じがいい。
好みの麺であります。
そうとなれば自ずと、一心不乱に啜り食べることになる。
ご馳走さまときちんと手を合わせるのが食べ手の正しい向き合い方になる、
そんなどんぶりだ。
実は、注文したあとに気がついた貼り紙がありました。
そこには、なんとも気になるこんなフレーズが書いてある。![]()
夜の部限定「煮干しソバ」700円、中華ソバより煮干しがきいています。
エグミ、塩気も強いため本当に煮干しになれた方のみの注文でお願いします。
ね、気になるでしょ(笑)。
そんなこんなで、も一度辿る大泉学園北口の先。
この晩の煮干し度は、"ノーマルより上"。
またまた最後のひとつの椅子を得られました。
お願いするのはそう、夜の部限定「煮干ソバ」。
昼の部の杯数が多かったらしく、残りのスープを睨んでの注文だ。
なるほど、「中華ソバ」よりもスープの褐色が濃いような気がする。
またまたどれどれと蓮華で掬ったスープを啜る。
うむむ、煮干しのエグミや風味は嬉しいものの、如何せん塩辛過ぎる。
塩気強いですよーとあらかじめ断ってくれていて、
こんな塩辛くわざわざする訳がないと考えると、
煮干しを濃く濃く煮出すと旨味や独特の風味だけでなく、
塩分も凝集することになってしまうのだろね。![]()
ああ、難しや、煮干し出汁。
でも限定をいただいてみて、より一層ノーマル「中華ソバ」の完成度が煌めきました。
大泉学園の外れに何故か煮干しラーメンの新星、中華ソバ「伊吹」。
煮干しLOVEなヒトにしか判らない愉悦の世界がここにある。
青森の名店「長尾」にはそうそうお邪魔できない身となれば、
大泉学園がちょっと特別な駅に思えてきます。
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肉汁うどん「肉汁やZERO」で 肉汁つけ武蔵野うどんの延長線上(11年10月)
中華そば「長尾」で 限定ごくにぼ夢にまでみた煮干ラーメン系譜(09年10月)
「伊吹」
練馬区西大泉1-2-10 [Map] 03-3924-9530
所沢では毎年、その名もそのまま「ところざわまつり」という山車祭りが行われています。
山車を牽くお祭りは、4年に一度くらいの頻度だった気がするのだけれど、今は毎年のことになっているそう。
10基の山車の曳行と重松流と呼ばれる祭囃子。
旧町を貫く銀座通りを埋める屋台村になんとサンバカーニバルまでもが繰り出すらしい。
いつも近くの公民館から聞こえていたお囃子が、山車の上から調子よく。
ひょっとこ面の舞も堂に入っています。
銀座通りの屋台のどこかでちょっと何かをいただいちゃおうかと通りに出てびっくり。
想定外のひとの多さに、怖気づく(笑)。
そそくさと通りを離れて、駅へと向かいます。
それにはちょっとした理由もあって、久し振りに所沢の駅そばを啜りたいと思ったから。
いつからそこにあるのでしょう。
川越へと向かうホームの真ん中辺り。
跨線橋へと登る階段と階段の下に立ち食いそば処「狭山そば」。
果たして自身何杯目になるかなぁ。
ここに来たらやっぱりと、思わず口をついて出るのは「天玉そば!」。![]()
出汁の香りと掻き揚げの油の匂いが交雑して、食いっ気を誘います。
両手にしたどんぶりをちょっと傾けて、ちゅるっと汁を啜る。
特段上等な仕立てでも勿論ないのだけれど、ずっと変わらぬ味わいにノスタルジックな安寧を思うのです。
掻き揚げの脇から箸の先を突っ込んで、
玉子の黄身を揺らしながら引き上げるそば。
だからどうということもないものの、
きっと恐らく市内のどこかの製麺所で作っているのだと勝手に思い込んでいる。
挽きぐるみの風情を一抹漂わせつつ、素朴に粉の風味で啜らせる。
ああ、こうでした、こうだった。
時には、「きんぴら天」でうどんをいただく手もある。
最近は、「春菊天」なんてのが新登場しているのだなぁと頭上の品書きを見上げては、
きんぴら天を箸先で解す。
武蔵野うどんの土地なのに、うどんそのものはちょっと愛想がない感じ。
ここ「狭山そば」では、その名の通りおそばの方がおススメだ。
古びたホームで沢山のお腹を満たしてきた、所沢駅「狭山そば」。
電車が到着する度に、どんぶり手にする背中が並ぶ。
大改修工事中の駅だけど、この一角はずっとずっとそのままであって欲しい、
そんな光景です。
「狭山そば」所沢店
所沢市日吉町1-11 西武池袋線ホーム [Map] 04-2925-8552
振り返るに恐らく、
「むさしのエン座」にお邪魔して以来の石神井公園。
高架化工事が進捗する中で、石神井公園の駅もリニューアルされつつあります。
南口を出て右へ進んで、工事中の高架脇を往く。
そういえば、麺処「井の庄」はこの辺りだったよねと煉瓦タイルのマンションを横目にします。
道が富士街道に突き当たったところで、目当ての物件を探しました。
冨士街道に面した角地の、典型的な雑居ビル。
日本料理屋に中華、美容室にカラオケスナック。
やきとんと標した提灯も見えます。
半地下な感じの通路右側、壁を黒くした処が今日のおひる処です。
小さな暖簾を潜ると、店内の壁天井も黒塗りの。
券売機に向き合ってから厨房を眺めると、大きな羽釜にぐらっと煮えた茹で湯。
うどん屋さん御用達とも云えそうな玉網に鷲掴みして重さを量ったうどんを投入している。
折角の大鍋なのでそこへ泳がすようにする方がいいようにも思うけど、玉網を使った方がなにかと始末がいいのだろうね。
券売機でぽちとする、「肉汁やZERO」のメニューは5本立て。
「魚介汁のつけうどん」に「肉汁のつけうどん」が軸で、「辛い魚介汁のつけうどん」「スパイシーカレー汁のつけうどん」に唯一のどんぶりモノ「あったか肉汁のつゆうどん」。
「魚介汁」も気になりつつも、やっぱり勿論、「肉汁のつけうどん」をお願いします。
カウンターには、にんにくチップに魚粉、辛味の容器が準備されている。
七味や一味は、うどん屋さんでも定番だけれど、にんくにチップや魚粉は、
旧来のうどん店にはおよそないもの。
つけ麺アプローチのうどん店であることがよく判ります。
そして、"肉汁や"であることに、武蔵野うどんの気配を想うのであります。
ころんとしたフォルムのどんぶりのひとつに肉汁、もうひとつにうどん。
![]()
![]()
トッピングのゆで野菜越しに覗くうどんは褐色がかっていて、
漂白しちゃった粉のうどんとは違う景色。
肉汁はというと具沢山。
バラ肉をはじめ、油揚げに揚げ玉、長葱にほうれん草、
こっそり茄子の素揚げなんかも入っています。
ゆで野菜と一緒にうどんを引っ掴み、たっぷりの肉汁にどぼっと浸し、大口開けて迎えます。
ああ、硬めに茹でて氷水できゅっとシメたうどんから、粉の甘み風味が噛むほどに滲み出る。
まさしく、武蔵野うどんの延長線上にあるうどんだとひとり合点して(笑)、嬉しくなる。
昨今の濃厚系つけ麺からしてみればあっさりの、うどんのつけ汁としては油ノリ十分の肉汁がまた、なんちゃって武蔵野うどんよりも武蔵野うどんチックで好ましいのであります。
武蔵野台地の一角で、
新進の武蔵野うどんの店だと敢えて思う「肉汁やZERO」。
ラーメン系太麺のつけ麺をわしわし喰らうのもいいけれど、
地粉的うどんのわしわし喰らいもまた魅力的なもの。
柔らかめの指定もできるようなので、
今度は、うどん柔めで「魚介汁のつけうどん」にしようかな。
口 関連記事:
麺処「井の庄」で 辛辛魚らーめんに挑戦やっぱりはひはひ~(07年01月)
「肉汁やZERO」
練馬区石神井町7-1-3 TビルB1 C号室 [Map] 03-3996-8386
東久留米の友人からタレコミがありました。
閉めてしまったと訊いて残念に思っていた、武蔵野うどんの店「一長」のあとが、
ふたたび武蔵野うどんの店になったよと。
それは立ち寄らねばなりませんと、早速出掛けた週末のお昼どき。
およそ以前の「一長」と変わらぬ佇まいで、
武蔵野うどん「しみず」はありました。
暖簾の中も、居抜きのまんまのカウンター。
左手のテーブルもそこそこにひとで埋まっていて、まずまずの盛況のご様子。
座るや否やのご注文は勿論、「肉汁つけうどん」であります。
厨房の左手奥にうどんを湯掻く釜があるのも以前のままで、
ふと「一長」はどういう経緯で店を閉めてしまったのだろうと宙を見つめる感じになったりして。
冷水に〆る様子を眺めてのち、「お待たせしました」とお膳が手渡されました。
目にして最初に思うのは、麺がやや細いことととまさしく漂白した粉のうどんではないこと。
讃岐のような真っ白では武蔵野うどんとは思えないので、その点間違ってはいないけど、
ちょっと黒っぽ過ぎやしないかな、とも。
どれどれとやや細のうどんをお約束のバラ肉浮かぶつゆに浸してズズと啜ります。![]()
その麺の固さに今度は、吉田のうどんを思い浮かべて、しばし腕組み(笑)。
もしかしたら、武蔵野うどんにコシや歯応えを求めてしまってるのではあるまいか。
一種の"ゆるさ"の同居した、地粉を柔らかめの麺で素朴に味わうのが武蔵野うどんではないのかな。
女将さんらしき方に地粉はどこの地粉かを訊ねると、
駅の向こうの製粉会社が卸してくれる地粉です、と仰る。
以前の店「一長」が扱ってくれていた、幻の柳久保の小麦粉ということでも、勿論ない。
もしかしたら、うどんを湯掻いている大将あたりに訊いたらちょっと違う応えだったかもしれないけど、例えばどこそこの農林61号です、みたいな返答が聞けたら嬉しかったかも。
東久留米にふたたび武蔵野うどんの店、「しみず」。
清水さん営む「しみず」は、以前の「一長」とは関係ないそう。
もう一分長く湯掻いたうどんを食べてみたい、というのが正直な想いです。
帰り掛けに見付けた駅のポスターで、
いづぞやの日経に『東久留米うどん』の記事が載っていたのを思い出す。
それは、東久留米産の小麦、農林61号を100%使用した乾麺。
官民共同の東久留米市地域産業推進協議会が企画し、臼田製麺工業が製造を担当、
販売は東京みらい農業協同組合、というもの。
桶川市の製麺所というところがちょっと複雑だけど、探して買ってみよっと。
口 関連記事:
手打ちうどん「一長」で 幻の柳久保小麦うどん6玉ぶずずず(08年08月)
「しみず」
東久留米市本町1-4-28 [Map] 042-410-0128
西武線にすっかり馴染んでいても、
離れ小島のようになっている武蔵境と是政を結ぶ多摩川線に乗ったのは、多磨霊園に赴いた際の一度しかない。
そして、萩山と国分寺を結ぶ多摩湖線となると、多分一度も利用したことがないと記憶する。
そんな西武多摩湖線沿線へと武蔵野うどんを求めてやってきました。
国分寺からひとつめの駅にあたる、一橋学園駅の南口からマクドナルドの脇の道を一橋大のキャンパス方向へとしばらく。
駐車スペースの向こうに「むぎきり」と示す潔く白い暖簾が下がっていました。
入ってすぐ左手に小上がりがあり、正面にテーブル席。
お昼どきの店内は、なかなかに賑わっています。
どっしりとしたテーブルの隅に案内されて、視線の先には硝子で囲んだ麺打ち場。
その前に置いたテーブルには、
群馬産の切り干し大根や群馬赤城山麓の大豆を使った味噌、
群馬産の地粉を使ったすいとんなど、
群馬由来の産物が並べられています。
![]()
さて、お品書きの「手打ちうどん」のところを探してみましょう。
武蔵野うどんなのかな?とも思う「肉うどん」は、
温かいかけ汁にお肉トッピングのどんぶりで、所謂武蔵野うどんではない。
"温肉汁"と示した「あったかつけめん」がターゲットです。
禁煙指定が嬉しいなぁと思いつつ、
厨房や麺打ち場、その向うの湯殿前を行き来するご主人の姿をなんとなく眺めながら、
出来上がりまでのひと時を過ごします。
塗りの捏ね鉢に黄色みがかったうどんがたおやかに。
三つ葉をあしらったつけ汁もたっぷりとしています。
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実は、豚バラが泳いでだらしなく脂の浮いたようなつけ汁が好みなのだけど、
こちらの肉汁はその点やや品よく仕立てている感じ。
水でしめ、水を切ったばかりのうどんが煌めくようにしているところを、
そのまま掴み上げて噛んでみる。
おおお、これぞ粉の風味が喉と鼻腔あたりを気持ちよく擽ってくる。
これもやっぱり、群馬の地粉なのでしょか。
どれどれと改めてうどんを引っ掴んで、肉汁に浸していただきます。
出汁の安定して、甘過ぎず、辛過ぎず。
こっそりと人参なんかの"糧"も肉汁に仕込んである。
その汁が骨太な風味と食べ応えのうどんによく馴染んでくる。
うんうん、いいね、いいね。
ご主人なりの解釈の中に、正統派武蔵野うどんの気概がどっしりとある模様。
ありがとう、美味しくいただきました。
小平は一橋学園駅最寄りの武蔵野うどん処、その名も「むぎきり」。
箸袋に描かれた麦穂イラストの筆致も素朴にして小粋な表現。
生うどんをお土産にして帰りましょう。
「むぎきり」
小平市学園西町1-26-26 [Map] 042-344-5151
富士街道沿いにあった「エン座」にお邪魔してからもう、三年が過ぎてしまいました。
再び訪れて、温かい田舎うどんなんかも所望したいなぁなどと思いながら、駅から遠いこともあって、なかなか果たせずにおりました。
そうこうしているうちに、
石神井公園の脇に移転したと聞く。
未だ駅からは微妙な距離なれど、
足を延ばして寄ってみましょう。
移転して、「むさしのエン座」となったお店は、「ふるさと文化館」なる施設の中にあるという。
石神井公園の池をふたつに分けるように新青梅街道へと抜ける通り沿い。
三宝寺池前信号の先に「ふるさと文化館」はありました。
今は、暖簾を分けた「エン座 長谷川」となっている以前の店の雰囲気から一転、
長く延びた庇が印象的なややモダンの建物の中。
「ふるさと文化館」は、区のWebページによると、練馬区で育まれてきた伝統文化の継承・発展および新たな地域文化の創造、観光振興を図る拠点として整備されたもの、だという。
明るい入口を入ると、ジオラマなんかが展示されたフロア。
そこに面して二種類の暖簾を掲げているのが、「むさしの エン座」だ。
ゆったりとテーブルを配した店内は満席で、人数を告げて待つことに。
ややあって、本棚(糧文庫)の前のテーブルへと案内されました。
ふと、店の奥よりの扉の先をみると、建物の裏手にもテーブルがあって、真冬というのにそこでうどんを啜っているひともある。
暖かくなった頃には気持ちいいかもね。
「おうどん」をお願いして、合わせて"武蔵野本流"と謳う「お団子」を。
しっかりと焦げ目を魅せる4粒の焼きだんごは、如何にも丁寧に丸められた歪みのない球形。
香ばしくいただくだんごの肌理も、如何にも細やかだ。
焼きだんごは、所沢の隠れた名物なのだけど、
ここまで精緻な仕立てのものではありません。
![]()
そこへ、おまちどうさまでしたーとご主人が、
「霙糧うどん」のお膳を届けてくれました。
いつぞやにも目を瞠らせてくれた、藤色と草色とを捩じったうどんがアクセント。
芸術的にも映るうどんの捩じれとうねるような量感。
じっくり炊いた印象の野菜根菜に刻んだ豚肉の浮かぶつゆに、
その量感を箸の先に感じながら浸して、啜ります。![]()
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うんうん、歯応えのコシというよりも噛む中にコクがあるという感じが素晴らしい。
全粒粉の茶色いつぶつぶが、より風味を運んでくれているようだ。
ふと厨房の中を覗くと、「地場産農林61号」と標した幟が横向きに掲げてある。
いま啜っているうどんも農林61号の粉によるものなのだろね。
茹で置き御法度、注文を受けてから釜入れする、つまりは茹で立てを信条とすることが、
ただただ旨いうどんのための心意気。
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追っ掛けやってきた天ぷらは、「地野菜かき揚げ」。
"とうきょう特産食材使用店"を謳う「エン座」ならではの、
何気に滋味あるかき揚げです。
本日のうどん、81.8点。
暖簾の脇に吊るした日捲りカレンダーには、その日のうどんの自己採点を表明しています。
点数のあとに小さく書いた、"(笑)"が店主の心持ちを示しているような。
練馬の地にしっかり根を張った、本手打ち糧うどんの店「むさしの エン座」。
所謂武蔵野うどんとは違うキャラクターのうどんに思うも、
それはまさしくセンスある手練のなせる技。
お皿のあれこれ、店内のあちこちに店主の気持ちが顕れていて頼もしい。
店名「エン座」の由来は、車座の様に円く座る「円」、ひととひととのつながりの「縁」、
とふたつの「エン」。
そこには、武蔵野台地の一角、練馬の土地との縁も含んでいそうです。
「生うどん」を買って帰りましょう。
口 関連記事:
武蔵野本手打うどん房「エン座」で むほほーの季節の霙糧もり(07年10月)
「むさしのエン座」
練馬区石神井町5-12-16石神井公園ふるさと文化館内[Map] 03-3995-1577
http://www.udon-enza.com/
武蔵野うどんを愉しむ上での標準としてまず想い浮かぶのは、廻田町四丁目交叉点の「小島屋」。
薪で焚く釜も佇まいもオバチャンの応対も味なお店だ。
臨時休業じゃなけりゃいいけどと少々不安を抱きつつ訪れると、危惧した通りのお休みモード。
残念だけど、東村山にいれば他に店はある。
店の裏に積まれた薪を眺めつUターンして、駅の方へと向かいました。
目指すは、以前お邪魔した「こせがわ」への道中にチェックしていた、
手打ちうどん「きくや」さん。
本店といわれる廻田町店とは姉妹店なのでしょう。
駐車場の案内表示に戸惑いながらも車を停めて、暖簾の向こうへといざ。
ちょうどもう最後の釜を上げたところで、お客さんのピークは過ぎている様子。
もうちょっと遅かったら喰いっ逸れていたかもしれません。
見上げる黄色い札の「3L」「4L」表示が、
正統派を思わせてなんだか嬉しい(笑)。
6玉相当の4Lで「肉汁」を冷たいのでいただきます。
廻田町店にはあったかなかったか、こちらには「カレー」の汁もあって、
「肉汁」とのダブルなんて組み合わせもできるみたい。
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と、手際よく盛られたうどんに天ぷらを載せ、「もう最後なんでサービスでカレーもつけときますね」とオネエサン。
はい、ありがとう。
竹を節のところから輪切りにした器はきっと、廻田町店と同じもの。
やっぱりこの妙に漂白していないうどんの表情が武蔵野うどんの見栄えであります。
バラ肉の浮かぶつけ汁にどっぷりと浸して、品なくずずずと急くように啜る。
あああ、うまい。
この粉の風味が武蔵野うどんの醍醐味だ。
量感を伝えつつもくにゅんと歯切れる、ちょっとした野性味。
うどん=讃岐うどんなヒトの中にはネガティブな感想を持つヒトがいるかもしれないけど、いいんだもん、これが武蔵野うどんなんだもん。
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残念ながらもいまや仕方のないことなのは、地粉のうどんではないこと。
国産の小麦粉だと伺ったけど、やっぱり農林61号なのかなぁ。
そんな意味では、曜日限定でも、柳久保の地粉のうどんを出してくれてた東久留米の「一長」は、地味だけど凄いことなんだね。
東村山の駅から歩いていける武蔵野うどん「きくや」は、こちら諏訪町店の方。
ご年配のおばちゃんたちの味ある応対も嬉しいけれど、こうして気概を受け継いだ若手女性が切り盛りするお店もこれからに向けて心強い、であります。
口関連記事:
手打うどん「小島屋」で これぞ武蔵野うどんの基本形うみゃいなぁ(07年06月)
手打ちうどん「こせがわ」で 武蔵野うどんらしい武蔵野うどん(10年07月)
手打ちうどん「一長」で 幻の柳久保小麦うどん6玉ぶずずず(08年08月)
「きくや」諏訪町店
東村山市諏訪町1-1-3[Map] 0423-96-1150
またまた武蔵野うどんの店を訪ねに、
聖地のひとつ、東村山の駅に降り立つ。
長らくほったらかしだった西口もやっとロータリーの整備がされている。
目指すお店はそんなに遠くもないのだけれど、茹だるような暑さと刺すような陽射しを避けようとそのロータリーに停まっていたタクシーに手を挙げました。
店の名を聞いて走り出したタクシーの運ちゃんが、こう話す。
他のうどん屋さんを目的地にするお客さんはちょくちょく乗せるけど、「こせがわ」へのお客さんは初めてですよー、でもなんか嬉しい、なんせボクもあそこで年中生うどん買って食べてますから(笑)。
なるほど、正に地元に人気の店なんだなぁと思っているうちに、
踏切を渡ったタクシーは、電機屋さんのガレージの前に停まりました。
そこですよー、ということで降りた、その目線の先には確かに「うどん」の幟がはためいてる。
電機商会転じて手打ちうどん店、ということなのでしょうか。
正対するお店には左右の建物それぞれに暖簾が掛かっています。
どうやら左の暖簾は、生うどんなどを売るスペースで、
イートインできるのは右手の暖簾のよう。
早速、右手の暖簾を払いました。
お店はとっても小ぢんまり。
厨房前のカウンターと右手スペースにテーブルがふたつ。
ビール!と叫びたいところをぐっと堪えて、壁に掛かったお品書きを見詰めます。
手作りしちゃったであろう葦簀を背景にして、
「ざるうどん」にその大もり、特もり。
温かい「かけうどん」に「肉うどん」。
ポイントは、その並びにある「肉汁 50円増し」のプレート。
50円で「ざるうどん」のつけ汁を「肉汁」にできる。
できればデフォルト肉汁であって欲しいのはやまやまなれど、
肉汁にできるのであれば文句はありません。
「大もりうどん」を勿論「肉汁」でお願いしました。
あ、「糧三種盛り合わせ」もお約束、ね。
麦茶をちびちび飲みつつ、うどんの笊と肉汁の到着を待つひと時。
割としっかり時間が掛かるのは、
注文を受けてから湯掻いているからに違いありません。
お待ちかねの膳がやってきました。
つやつやとしながら、どことなく茶色みがかったうどんに豚バラ肉を浮かべたツユ。
その向こうには、茄子、隠元、大根の「糧」。
慌てて薬味を入れたお椀に、箸でひっ掴んだうどんを浸して、ズズズと啜る。
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そうそうそうそうそう、そう(笑)。
この小麦粉の風味が、武蔵野うどんの真骨頂。
こうでなくてはいけません。
武蔵野うどんのフリしてすっかり讃岐うどんなお店に、はてな?マークを浮かべることもあったなぁとちょっと遠い目になる。
少々久し振りに、武蔵野うどんらしい、武蔵野うどんに出逢えました。
「特もり」にしとくんだったなぁ。
「うまかったス!」とお礼を云ってお代を済ませ、暖簾を払う。
そのままお隣の暖簾を潜って、もう一度、こんにちは。
生うどんを1パックお願いすると、
「じゃぁ、打ち立て切り立てのところを入れましょね、暑いのでちょっと塩が強めになってます、8分くらい茹でてくださいね」とオカアサン。
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もう一度、おいしかったですよーと告げ、生うどんを手に電機店のガレージを後にするのでありました。
昔ながらの手打ちで粉の香る、武蔵野うどん「こせがわ」。![]()
「こせがわ」の「肉汁ざるうどん」は、
東村山ブランド「里に八国」に認定されているんだそう。
店名の「こせがわ」は、ご主人のお名前かと思ったら、然にあらず。
それは裏手の河に架かる橋の欄干ではっきりしました。
この小川が「小瀬川」なのですね。
「こせがわ」
東村山市諏訪町1-23-5[Map] 042-391-3440
此処に来るのは、もの凄く久し振り。
浦所バイパスから松郷の畑の中に折れ入ったところにあって、 最寄りの東所沢駅からでも歩いて20分くらいかかりそうな立地なので、足がないと行けないのです。
道路が新しくなっている部分があって戸惑いつつも到着した「松郷庵 甚五郎」の駐車場。
そう云えば、「神明庵 甚五郎」も駅からとっても遠いところにあるんだよね。

案内されたのは、真ん中の大テーブル。
見上げた梁の上には、木の車輪が載っていたりして、ちょっと大きな農家のお宅に遊びに寄ったような気分にさせてくれます。
お願いしたのは勿論、「肉汁うどん」。
温盛りにもできるようですが、冷たいのでよろしくとオカアサンに伝えます。
一品料理のところで目に留まった「山芋唐揚」を目にすると、ああ、ビールが欲しいと強く思う。
さくっと軽やかでいて、山芋独特の粘つく食感も一瞬あって、愉しいんだ。
お盆に載って、つけ汁と笊のうどんがやってきました。
うどんには、明らかに小麦の外皮のような粒々が透けてみえる。
例えば、京都「ろぉじ」の全粒粉のつけ麺にみるような景色。
そのまま麺だけ啜れば、どこか遠くで甘いような小麦の香りがほんのりとする。
レジのところの貼り紙をみると、最近うどんの仕立てを変えたらしく、「香麦麺(こうばくめん)」と呼んでいるらしい。
うむ、なるほど。
つけ汁はというと、お約束の豚バラ肉をメインに長葱、茄子やシメジが浮かんでる。
バラ肉が極薄切りに過ぎる感じもするものの、武蔵野のうどんはこんな汁でなくっちゃな!って頷くに十分だ。
うんうん、うん。
お会計の際に、どこのどんな粉を使っているのだろうと尋ねてみた。
わざわざ厨房の方に声を掛けてくれた応えは、武蔵野エリアの地粉ではなくて、北海道産の、かもめという粉をメインにブレンドした粉で打ったうどんだそう。
小麦の香るうどんでへの工夫が嬉しいけれど、土着な武蔵野うどんとはちょっと毛色が違う麺であることもまた確か。
ふと、昔ながらの機械でゆっくり製粉しないと旧来からの武蔵野うどんの風味が出し難いんだよ、というようなことを説いてくれた、八丁堀のうどん処「福福」のオヤジさんの顔を思い出したりして。
所沢の田園風景の中に佇む「松郷庵 甚五郎」。
ひと通りのない畑道の有名店へと、あちこちから入れ替わり立ち替わり車がやってくる。
25年もの歴史を抱いているってことは、「甚五郎」の系譜の高いところにいるのではないかと思うのだけど、そのあたりどうなんだろうね、Con Brio!!さん。
「のらうどん」も気になります。
□関連記事:
うどんそば「神明庵 甚五郎」でくたくた煮込み肉汁うどんの透明感(10年02月)
地粉つけうどん「福福」で 肉つけうどん粉の味わいと豚ばら肉(05年06月)
つけ麺や「ろぉじ」 で挽きぐるみ的つけ麺と鯛ぶぶ京の路地(08年05月)
「松郷庵 甚五郎」
所沢市松郷272-2[Map] 04-2944-9168
西武新宿線の狭山市駅。
もう3駅乗れば終点本川越駅に至るこの駅に降り立つのは、いつ以来だろう。
橋上駅舎化工事が進行中とのことで、東口の駅ビルは解体されているらしい。
その東口とは逆の西口を出て真っ直ぐ向かうは、県道50号線。
麗らかな春の陽光の中、通りの向こう側に見つけたのが、サイディングの壁に大きく書かれた、
「多寿満」の文字です。
そして、入口のアルミサッシの先には、テント地の幕が留められていて、堂々こう標されています。
暖簾の向こうは、雑然として使い込まれたカウンター。
揚げ油の匂いに出汁の匂いが混じります。
目的は勿論、武蔵野うどん。
渡してくれたメニューをどれどれと探ると、「肉汁うどん」ならぬ「肉汁きのこうどん」がある。
きっと、つけ汁モノで、これが一番武蔵野うどんらしいかな。
他には、「もりうどん」「たぬきうどん」「カレーうどん」やちょっと変わり種の「麻婆豆腐うどん」「韓国チゲうどん」、「釜上げ納豆うどん」「モツ入り鍋焼きうどん」なんてのもある。
うどんばかりでなくて、「生姜焼セット」「カツカレーセット」「麻婆豆腐セット」といったうどんセットや酒の肴的な一品料理もあるんだね。
「肉汁きのこうどん」を大盛りでお願いして、のんびりと卓上のテレビデオを眺めながら出来上がりを待つ。
すぐ出てこないのは勿論、注文を受けてからうどんを湯掻いているから。
何の気なしにメニューを改めて眺めたら、天ぷらの項の「かき揚げ」50円というところに目が止まる。
50円とは安いなぁきっと小振りな掻き揚げなんだろなぁひと口揚げ物も欲しいかなぁと思い付いて、追加してもらいます。
「お待たせしましたー」とカウンター越しに受け取ったお膳には、
うどんの笊が二段に。
おお、大盛りは笊二枚になるんだと思った次の瞬間には、50円掻き揚げの大きさに秘かにびっくりしたりする(笑)。
お椀にたっぷりと注がれた肉汁きのこはまさに具沢山。
そこへお待ちかねとばかりに笊のうどんをとぷっと漬けてズズっと啜る。
慌てた所為か、眼鏡に汁が飛ぶ(笑)。
おおおおお、やや甘い汁に浸ったバラ肉としっかりと粉の味のするうどんの組み合わせは、間違うことなき武蔵野うどん。
この地粉の風味あってこその武蔵野うどんであるなぁと改めて感じ入る。
こうでなくっちゃと思わず頷いている自分に気がついたりして。
想定外に大きかった掻き揚げを挟みつつ、二枚目のうどん笊に取り掛かる。
ズズズ、ズズ。
確かな噛み応えのあとに旨みを伴う粉の味わい。
ただコシつき命のうどんより、ボクは断然こふいふうどんが好き。
いいなぁ、旨いなぁ。
狭山の県道沿いで、県産の農林61号の小麦粉に拘った武蔵野うどんがいただける、
手打ちうどん「多寿満」。
一瞬顔を出した白髪髭面のおとうさんがきっと店主の田島さん。
会計の時、その「弁天」という農林61号を小口で買えるお店を知らないか尋ねたところ、ちょっと待っててと奥に引っ込んだおかあさん。
1キロくらいあるから持って帰りなと袋を渡してくれた。
おいくらでと訊くと、いいのいいのとおかあさん。
いや、あの、そんなつもりじゃないのですけど、ではありがたくいただいていきますとお礼を告げて帰路につく。
なんだかとってもあったかい気持ちになりました。
「多寿満」
狭山市入間川1-15-8[Map] 04-2953-6785
所沢界隈で、気になるうどんのお店の先頭にあるのが、「甚五郎」のお店たち。
どこも駅からふらっと行けるような立地にはないため、なかなかアプローチできずにいたんだ。
昼頃に所沢での所用が済んで、これはいい機会かと、ちょっくら狭山ヶ丘まで足を伸ばすことに。
車を降り立ったところから振り返り眺めるお店は、簡素な平屋建て。
一本気を思わす面構えの入口に小豆色の暖簾と提灯が待ち受けてくれていました。
店内は、うどん屋さんはこうであれ!と思う佇まい。
入口の右脇に麺打ち室。
そして、同好の士たちでほぼ満席であります。
幸運にも唯一残されていた小上がりのテーブルに着いて、お品書きのウラオモテ。
冷たい、温かい、そば、うどん。
そうか、そばもあるのだね
うどんモードのまま、お品書きのうどん面をじっと睨むと、
冷たい麺に「くるみ」「淡雪」「ごったのら」「むらさき」「きいまカレー」とあって動揺し、温かい麺に至っては、正直何がなんだか判らない。
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だって、「はいから」「忠兵衛」「極楽」「広林坊」「人里」「甚五郎」「宮寺鍋」なんて文字が並んでいるのだもの。
外の陽射しを照らす障子にはその幾つかのメニューを解説が貼られていて、それを見上げつつ、ふんふんなるほどと。
でもね、今日の注文は決まっているンだよねと、お姐さんに告げたのはやっぱり、
「肉汁、ください、大盛りで」です。
どーんという量感でやってきた「肉汁」大盛りの膳。
漆塗りの木鉢に盛られたうどんは、意外な程に白い透明感。
そのまま数本をつるんと啜った印象は、地粉な武蔵野うどんとはやや趣を異にするけれど、加減よくコシとモッチリとが同居した、手練の技を思うもの。
さてと、そのうどんを浸すのは、これまた正統(と思う)武蔵野うどんのつけ汁とは仕立ての違うつけ汁だ。
薄く薄くスライスした豚バラと長葱がくったくたに煮込まれていてかなり脂が強い。
なんだか、牛丼の寸胴の最後のところでうどんを啜っているような(豚だけど)、Con Brio!! さんが云うように、じゃがいも全部食べちゃったあとの肉じゃがの汁のような、そんな感じである。
へー、こうくるかぁと思いつつ、あちこちにつゆを撥ねさせながら、つるちゅる、つるちゅる、だ。
県道青梅所沢線の有名店「神明庵 甚五郎」は、「甚五郎」の本家であるらしい。
武蔵野うどんらしい「肉汁」を期待していたので、その点では肩透かしだったけど、長年を課題を一歩クリアしたような不思議な満足感でふたたびタクシーに乗る。
近所に住んでいたならばきっと、全品制覇を目指していたに違いないと思って、ニヤリ。
そして、他の「甚五郎」へも行かなくちゃと思いながら再び眺めるお茶畑。
そうそう、甚五郎おっかけのCon Brio!! さんをおっかけなきゃだ(笑)。
「神明庵 甚五郎」 入間市宮寺368-4[Map] 04-2934-2859
東大和市という行政が、都下の一角にある。
そう認識はしていても、それはどこ?と訊かれると、小平の向こうというか、多摩湖のむこうというか。
そして、西武線に「東大和市」という駅がある。
そのことに初めて向き合うことになったのは、東大和市駅を最寄りとする武蔵野うどんの店があると聞いたから。
新宿線から拝島線に直通する電車に乗り込みました。
L字のカウンターが開けっ広げな厨房を囲む、潔い印象の店内に釜の湯気が立つ。
飄々としながら可愛らしい愛想のオバチャンが迎え、その背中でちょっぴり気むずかしそうなオヤジサンがうどんをシメています。
品書き
も潔くって、「肉汁かけうどん」「かけうどん」と「肉汁うどん」「もりうどん」の4品のみ。
武蔵野うどんの目線からいけば、おのずと「肉汁うどん」でということになります。
大盛りでお願いしました。
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オバチャンからお盆を受け取ってまずびっくりなのが、その麺の太さ。
世に矢鱈太っというどんはあれこれあるだろうけど、武蔵野うどんの系統で、こんだけ太いのは今のところ他に知らない。
ほえ~と思いながら、割り箸でひっ掴むと、その剛性と量感にたじろぐくらい。
数本の束を啜るというよりは、一本をしっかり挟んで、もぐもぐモグモグする感じになる。
つけ汁は勿論、豚肉の浮かぶヤツ。
バラ肉というよりはロースに近い部位なのか、脂控えめながら葱もたっぷり浮かんで悪くない。
そこへ、鷲掴みした掌で絞った雰囲気の山盛り大根おろしやおろし生姜を適宜ぶち込んでさらに、もぐもぐモグモグ。
入れ放題の揚げ玉を使っちゃう手もあるぞ。
いやぁ、それにしも噛み応えのあるうどんであります。
1cmを越えようかという幅のうどんの断面をみるとこれが、ごっついアルデンテ。
透明を帯びない、粉の凝縮が明らかにあって、なるほど、啜るに適わない麺の力強さの源は、ここにある。
味噌煮込みうどんの手強さに量感を加えた感じ、といえば伝わるでしょうか。
柔らかく湯掻いた、所謂「糧」を挟みつつ、大根おろしをさらにつけ汁に投入しつつ、食べ進む。
ふう、オバチャン、なかなかに満腹になったよー、ご馳走さまー。
するとオバチャン、「梅干し、食べてって」。
それが、すっごく塩辛いのでありました(笑)。
朱のうどん鉢の底に名を示す、東大和の武蔵野うどん「茂七」。
ボクが思う"武蔵野うどん"と比べると、「茂七」のうどんは異端にあるということになる。
でも、ふと思い出して足を向けたいと思うこともありそう。
あのオヤジさんが、茂七さんなのかなぁ。
「茂七」 小平市小川町1-406-3 グリューネワルト1-C [Map] 080-3471-1385
'12/02/02(木)by:まさぴ。さん
Re:Gingerさま
口 大衆食堂「末廣屋」で 生姜焼き定男前豚丼蔦の覆う創業来45年うん、また行こう〜。
モテコ師匠、歓迎♪ ウーロンハイ、できるかなぁできるよね (=´∀`)人(´∀`=)
'12/02/02(木)by:Gingerさん
また行こうよ
口 Oyster Bar「MAIMON」で ローラン・ペリエと好相性牡蠣どーれだモテコ師匠とウーロンナポ連れだけど...(*^_^*)
'12/02/01(水)by:まさぴ。さん
Re:TONさま
口 Oyster Bar「MAIMON」で ローラン・ペリエと好相性牡蠣どーれだぜひ是非に~♪
岐阜のオイスターマイスターの店としては、「La Pesca」が唯一だと思うので、行っちゃってください。
記事に書いた通り、オススメとなると相当アヤシイので、店で百瀬さんに「どんな感じで愉しめばよい?」と訊ねるのが吉(笑)。
九州方面のヤツと北海道のヤツを食べ比べたりなんかすると面白いかもです。
'12/02/01(水)by:TONさん
どうもです。
口パスタ「AMBER」で ナイフ手に喰らうお好み焼き的ピカタ風スパこの記事読んだら無性に牡蠣が食べたくなりました(#^.^#)
この冬まだ美味しい牡蠣を頂いてないんです。。。
岐阜のあのお店に行ってみようかしら、
と思っております。。。
まさぴ。さまのお勧め牡蠣はありますか?
'12/01/31(火)by:まさぴ。さん
Re:匿名さま
口パスタ「AMBER」で ナイフ手に喰らうお好み焼き的ピカタ風スパシャッター閉まったままになちゃいましたね…。
「かんかん」のオヤジさんとおよそ同世代の。
そっか、明太子スパの味、憶えてなくって、でも食べれないのですね。
'12/01/27(金)by:匿名さん
私は明太子スパが大好きでした・・・
もう食べることができないのがとても残念です。
合掌
口 COFFEE「びーんず」で 鉄板と玉子とウインナ名古屋式ナポリタン'12/01/25(水)by:まさぴ。さん
Re:TONさま
口 COFFEE「びーんず」で 鉄板と玉子とウインナ名古屋式ナポリタンどもです~♪
この伏見のふるーい地下街、名古屋でも知らないヒト結構いるよな気がします。
おお、名古屋式かと思っていたイタリアンは、三重式だったのですね。
そこから名古屋や岐阜に伝播していったと。なるほど。
また、岐阜ならではのモノ、いただきにあがりたいですー。
'12/01/25(水)by:TONさん
ご無沙汰しております。
口 おでん「松田」で 扉の中の屋台のおでん燗酒ふき牛すじちくわぶ俄か名古屋人の私なのでこの地下街には行ったことないですね~^^;鉄板、玉子のイタリアンの発祥は以外にも三重県と聞いた事あります(地元テレビで昔追跡してました)。私は岐阜っ子なので岐阜だとずっと思っていましたが。。。
'12/01/23(月)by:まさぴ。さん
Re:おまつさま
口 COFFEE「びーんず」で 鉄板と玉子とウインナ名古屋式ナポリタン路上で営業できなくなって、扉の中に入れられちゃった屋台って、全国規模で考えたら相当数あるのかもしれないね。
路上が本来のステージなのにと思ったり、屋内でもいいじゃんと想ったり…。
浅草で屋台見付けたら知らせてね(笑)。
'12/01/23(月)by:まさぴ。さん
Re:ぽんちゃんさま
どうやらこの地下街、さすがに手を入れたらしく。以前はもっと暗ったい感じがしてた気がしますもの。
あはは、床屋にチケショにも。御用達だったのですね。